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ダイヤモンドの中心は、君

マスクのおかげで出せた勇気

わたしは今まで生きてきた中で太っていない時がなく、かなり太っているため髪を短く切っても伸ばしていてもいつも輪郭まわりは綾波レイのように毛先で隠していた。美容院で常に「顔まわりは顎より下にしてください」と言い続ける人生だった。顔がパンパンだから少しでも隠したい。その一心で常に輪郭を毛で覆っていた。

それが今回、「どうせいつもマスクしてるからいいや」という理由で思い切って顔まわりも切った。輪郭を出してみることにしたのである。これが。

めっっっっっっっっちゃ似合ってた………………。

どういう髪型かというとこの比留川游の髪型にした。自分で言うのもなんだけど似合う。ずっとこの髪型でいいな。

念のために言っておくと比留川游なのは髪型だけであり、現実のわたしは比留川游の髪型が頭部に乗ったベイマックスである。

「感染のリスクがあるのに必要のない出勤をさせている上、社員の意見を聞こうともしない」会社に不信感が多少あり、ジワジワと湧き上がってくるIターン願望も伴って転職エージェントに電話相談をした。正直、毎日しぬほど求人情報がメールで届くのですでに辟易しているのだが、ちょっとずつ動き出している。転職するかどうかはわからないし過去何度もしようとして結局12年おなじところに勤めているけれど、「悩んで行動に移した上で結果としてここに決めてる」状況のほうが己で納得できていいな、と思っている。

もし地方に住むことができたら、大きいクローゼットがある家がいいな。今のアパートはクローゼットがめちゃめちゃ小さく、あまりにもものが入らないので部屋の大部分を衣装ラックが占めることになっておりとても無駄なのである。インテリアにこだわりはないが、部屋にどかんと見せたくないものが置いてあるのは居心地がわるい。

綿矢りさのウォーク・イン・クローゼットを読む。人となりは○○を見ればわかる、というのはあらゆることで言われているが(キッチン、とか本棚、とか)クローゼットもそうだ。わたしはなんとなくさまになりそうな服をやすいという理由だけで買い、シーズンが終わる頃に全く気に入らなかったなと思いながら捨てることを繰り返しているのでそのシーズンの真っ只中だけクローゼットは膨れ上がり、衣替えの時期にすかすかになる。今日も大量に服を捨てた。

在宅勤務を2ヶ月ほど続ける中で、ふと「ああ、わたしは服に興味がないし興味がなくても別にいいんだ」と気づいたときは衝撃だった。服を好きなつもりでいたけれど、好きだったらこんな消費の仕方はしないだろう。そう思うと、これから先はワクワクする服だけを着ていられる気がした。

メイクにも服にも興味がないわたしは人のごはんにとても興味があり最近はずっとTwitterでいろんなひとのごはんを見ている。飽きない。楽しい。

週末なので午前中に届いた白ワインをいそいそと冷やし、午後はスーパーに魚を買いに行った。先週も買ったトロかつおをまた買う。わたしは気に入ったものは本当にそればかりを食べ続けるので毎日の献立に悩むことがあまりない。平日5日間同じものを食べ、週末2日間も週末の変わらないものを食べる。食べたいものがありすぎてどれを食べたらいいいか悩む人のことはわかるが「食べたいものはないけれど何を作ればいいかわからない」献立の悩みを持つ人のことはわからない。家族がいれば毎日同じものを食べるわけにはいかないのだろう。わたしにもパートナーが入ればパートナーと何を食べたいか毎日悩むかもな。

パートナーがいないわたしは同じものを食べる。

ネットでコスパが良いと書いてあったワインをスーパーの棚で探したが、同じパッケージで色が違うだけというような商品が数種類並んでおり、なおかつネットに載っている写真と同じ色の商品は売ってなく困惑した。とりあえず「パッションフルーツのような」と書いてあるものと「シトラスのような」と書いてあるものがあったのでパッションフルーツの方にした。ワインはこういうことがよくある。長い長い名前の中の一部分だけが違うとか、製造年数が違うとか、かぎりない。コーヒーも紅茶もワインも難しい。

同じくらいとは言わないまでも複雑なEBiDANの中から推しを見つけたように、ワインにも「これだ!」の出会いがほしくて今日も知らないワインを飲む。明日は赤が届く。ごはんは楽しい。お酒はおいしい。