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ダイヤモンドの中心は、君

好きな色が定まらない

以前は、カーキが好きだったように思う。いわゆるアースカラーが好きで、からし色とかボルドーとか、沈んだ色を好んだ。いつからかパーソナルカラー診断というものが流行り始め、それで垢抜けるならよしと意気揚々と診断に行くと、わたしはゴリゴリにブルベであり、1割しかいないとされているブルベ冬だった。

ブルベ冬の得意な色は黒、白、ビビッドな原色、と、とにかくはっきりした色で、わたしが好んで着ていた色たちはことごとく合わないということがわかった。唯一、「なんとなく細く見える」というだけで黒とネイビーをよく着ていたことが幸いし、服を前とっかえということにはならなかったが、これはなかなかにショックが大きかった。でもたしかに、昔のツーショとか見ると(自分の顔を写真で撮らないため、記録されている顔が特典会のツーショット写真と会社の飲み会で撮られた写真しかない悲しみ)、オレンジメイクをしているときの顔がダントツでブスで、似合わない色のメイクするとこんなことになるのか~~~とおののいた。

それから、自分に暗示をかけるようにわたしはネイビーが好きになった。実際、ネイビーに白の水玉と赤い花が書いてある原色ギラギラのワンピースをわたしはとても好んだし、ネイビーのものが家にあふれていくのは楽しかった。

しかし、ここ最近、家にいることが増え、家具などを少しずつ変えていく中で、人の部屋を参考にするべくあらゆる写真をネットで見ていたら、ふと気付いた。

「わたし、めっちゃベージュ好きだわ」と。

ベージュというか、自然な色が好きだ。アイボリーとか、きなり色とか、そういう色。いちばん好きなのは少し日焼けした古本の色かもしれない。薄い色が好きだ。気付いてしまった。爪も、いつもはネイビーのポリッシュを塗っていたが、何も塗っていない爪の色がいちばん好きだと気付いてしまいもうずっと塗っていない。足の爪だけ、以前「足の爪を塗らずにサンダルを履くのはノーパンで外出てるのと一緒」と言っていた友人にリスペクトを感じきちんと塗っている。

ベージュはいい。なんせ、おいしそうだ。パンケーキの側面とか、メロンパンとか、ラーメンのスープとか、じゃがいもとか、そういうおいしいものはたいていベージュだ。わたしはおいしいものが好き。そうか、カーキやボルドーが好きだったのも、おいしそうだったからかもしれない。茹でて和風に味付けしたほうれん草や、こっくり煮詰めたジャムを思い出させる。

ネイビーを好んでいた頃のわたしは、食事をまったく楽しんでいなかった。仕事帰りに毎日おなじ惣菜を買い、毎日おなじビールを飲んだ。ネイビーはぱりっとしていて目が覚めるような緊張感があり、食事の場にはそぐわない。わたしはごはんから逃げたくてネイビーを選んでいたのかもしれない。

今は毎日ちがったごはんをその日の体の声を聞いて作るし食べる。お酒も、合うものを選んで楽しみながら飲む。ベージュがそこにほかほかと寄り添うのがいい。今はそういう、ほっとすることが、いい。

昨日は色鮮やかな野菜たちに麻婆茄子の素(Cook Do)をかけてチーズを乗せて焼いた夏野菜の麻婆グラタンを作った。カッティングボードとランチョンマットが主張していなくて、とてもいいと思う。

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世界は色に満ちており、いまのわたしは明確につかれている。優しくされたい。そんな色たちも画面の中では青と赤と緑からできてるんだから不思議だーよね