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ダイヤモンドの中心は、君

此の街と君が正しかったのにね

2020年の秋。思い立って福岡に引っ越してから1年と9ヶ月が経ちました。
東京に住んでた頃と比べて良くなったところ、悪くなったところ(というか、好きじゃないなと感じるところ)を少しまとめてみようかな。

☆良くなったところ

・居住環境が良くなった

もともと、このために移住したようなものなので。福岡は大都市圏なのにとにかく家賃が安いです。わたしの地元である長崎県より安い。

家賃の相場が手取り給与の1/3だとして、わたしはそこそこお金がかかる趣味があった(ある)ので1/4まで下げています。

東京に住んでいる時は新宿から私鉄で8駅、各停しか止まらない駅から徒歩15分の立地に住んでいました。
8畳の1Kで築年数も古く、クローゼットがなかったので広さの割には圧迫感がありオートロックも宅配ボックスもベランダもなし、当然バストイレ同一。個人的にキッチンが狭いのが難点でした。

同じ条件(手取りの1/4)で、今は都心の駅から徒歩10分。オートロックのマンションで1DK、広いベランダと宅配ボックスがありバストイレも別です。大きなクローゼットと天井にも収納があるのでオタクとても助かってます……。個人的に「ごはんを食べる部屋と寝る部屋が別」という理想が叶ったので嬉しい。
東京にいる時は最寄り駅にスーパーとコンビニとドラッグストアしかなかったので、歩いていける範囲に大きな家電量販店も百貨店もファッションビルもあって反対側に歩けば市民の台所になる商店街もあって引っ越してきた時は夢みたいだと思いました。

・可処分時間が増えた

東京に住んでいる時は、仕事も趣味もとにかく移動時間が長くて。仕事だとドアtoドアで片道1時間40分かかっていたので毎日3時間20分を移動に費やしていたことになるんですが、今は徒歩30分なので往復でも1時間で済んでることは大きいです。21時まで仕事をしたとき帰る頃には23時近いのと、21時半に家に着いているのでは全く違います。

趣味に関しても、中野、新宿、高円寺あたりは近かったから良いけど横浜とか幕張とか遠い時は本当に遠くて……今は基本的にペイペイドームにしか行かないのでここもバスで30分あれば着くし、家で過ごせる時間や趣味に費やせる時間が増えたのはありがたいことです。

・余計な出費がかからない

家賃が安いから一番大きなところを抑えられてることがまず大きいんですが。東京に住んでいるときと交際費が全く違うな~という感じです。
飲みに行っても、1人4,000円いくことが本当にないので……東京にいる時は8,000円くらいかかっちゃうこともそれなりに多かったし、お金ないからトリキね!って我慢してやっと3,000円台に収めてたことを思うと、好きに食べて飲んで3,000円台で済むからびっくりしちゃう。
ランチも1,000円未満で十分おいしいし、その分を趣味に回せるのはオタクとしては助かる。あとは「身の丈にあった暮らし」をみんなしているので、東京にいたときほどこの歳でこの値段の服(化粧品)でいいのかな……みたいなのもほぼなく済んでるかなあ。

・地元に根づいた団体への愛

わたしは基本的に何かを追いかけてないと生きていけない生き物なので、東京にいる理由の大半は「観たいものが東京でしか観られないから」でした。
今回、福岡に引っ越そうと思った理由の大きな部分が「東京でしか観られないものを観たくて東京に住んでいるのに、家から出られないなら東京にいる意味はない」だったから、「家から出られる生活になったらどうなるのか」という懸念はもちろんあって。

でも、その懸念をほどいたのは「福岡に住んでいても身近に面白いものはある」でした。

何のオタクでもなくなって家で俳優の推しが活躍するところをテレビで見るんだと思ってたんですが、気づけば福岡を本拠地とするプロ野球の球団に沼落ちしてせっせと球場に通っているので、オタクは結局その場できちんと何かに出会うんだろうなあと。
それに、「そこでしか観られないものがある」という価値が、少しずつ東京大阪だけのものじゃなくなってきてるなと感じています。
福岡に住んでいて、関東に住んでいるホークスファンは本当にたくさん見るし、福岡でしか味わえないコンテンツが少しずつ他に流れ出してる。HKTもそうだし、芸人さんやタレントさんで福岡に移住してきた人たちも増えているのは配信という都会のテレビ局を通さなくても発信できる土壌ができたからというのもあるのでしょうが移り住みたいと思わせるものがこの街にあることを証明する人が増えるのは嬉しいことですね。

あらゆる企業が福岡に進出して急成長を遂げている中で、「この街で活動しているから」という理由で長く活動できている団体が大きく飛躍しているのは未来を感じさせるなあと思います。わたしがホークスの試合を観るようになったきっかけも、2020年日本シリーズで感じたことのない「街全体が興奮している」状況を目の当たりにしたからです。

東京に住んでいて、巨人が日本シリーズに進んだから駅員やバス・タクシーの運転手、郵便局員マクドナルドの店員、あらゆる人が巨人のユニフォームを着ている状況なんてなかった。ヤクルトが日本シリーズに進んだから1日中東京音頭を聴くなんてことなかった。「地元に球団があるってこういうことなんだ」って心の底から驚いたんです。鷹の祭典というただ球団が決めた特別な日程というだけで街全体がユニフォームの色に変わる街。

「この街から何かが羽ばたく」ことに並々ならぬ誇りがある人たちなので、ここに住んでここに根付いた何かを応援できることは嬉しい。

・おおらかな街

愛する何かがあるだけで、人はそれを拠り所にすることができます。わたしは福岡という街が好き。
地元は長崎というもっと端っこの街だけれど、長崎に帰るときに一度福岡空港で降りたときがいちばん「ただいま」という気持ちになることができました。

それは、埼玉出身の中村晃が所沢でのヒーローインタビューで「福岡に“帰り”ます」と発した言葉がわたしの心にぎゅんとあたたかく沁みて、それだけで泣きそうになった気持ちを取り出すたびに思います。

椎名林檎は福岡を「正しい街」と歌いました。
そして、YUIは東京を歌った曲で「答えを探すのはもうやめた 間違いだらけでいい」と。彼女が言葉にして歌うことでしか自分でそう受け止められなかったことも、この街でなら許されるとわたしは思います。

・食べ物

これはわざわざ書くまでもない気もしますが……地産地消ができてるから、食材は基本的に安くて質が良いです。
酒蔵さんが多いから良いお酒も身近で買えるし、スーパーや百貨店もそれぞれ特色を出してるからどこにいってもワクワクする。
飲食店も、海鮮はもちろんのことベーカリーとかフレンチもレベルが高いお店が多い。安い居酒屋でも普通にお酒も食べ物もおいしい。ただ1人向けの店がまだ少ないかなあ。

★福岡の好きじゃないところ

・マナーが悪い

もともと福岡に住んでいる人でもここに不満を抱いている人は多いんじゃないかな……。
まず交通マナー。悲惨な事故が起こっても一向に飲酒運転は減らないし、道が広くて停止線から横断歩道が離れすぎているせいか、歩行者信号が青になったタイミングで加速してきた自動車が突っ込んでくるので怖いです。
運転者側のマナーもそうだし、公共交通機関に乗るときも平気で割り込みしてきたりきちんと整列ができなかったり。

あと、路上喫煙が多すぎるのも嫌煙者的にはきついですね……徒歩で通勤してるんだけどとにかく歩きタバコが多いし、吸い殻を道に捨てるから気分がとても悪いです。おおらかな県民性の裏返しだなとは思うけれど、喫煙エリアがあっても無視してあちこちで吸っている警固公園は基本的に通らないようにしています。

そして福岡の人は駐車場の塀と歩行者信号の押しボタンの上をゴミ箱だと勘違いしているのかな?てくらいあちこちにごみがあるのもどうなの?と思うけど、まあエリアによっては渋谷とかもそんな感じなので……。

薬院、六本松、大濠公園あたりは比較的マナーが良い地域かなと個人的には思います。今泉、百道や浄水通も。

・人の距離感が近い

これは東京にいても環境によるのかなという気もしますが……食べてるものとか着てる服とかいちいち言及されることが多くてわたしはそういうのがどっちかというと苦手なタイプなので(今日お昼いつもと違うね~みたいなの、好きにさせろよと思ってしまう)東京の無関心が懐かしいなあという気持ちになることは割とあります。
ただその分、みんな仲間意識が強いので、困ってたら助けてくれるし間違ってたら怒ってくれる人が多いのは個人的には助かってる。

・ガス代が高い/ごみ袋が有料

とりあえず、都市ガスの物件がとても少ない。基本プロパン文化なので、お風呂に浸かるのとシャワーくらいしかガス使わないのにガス代めっちゃ高い……。それと、指定ごみ袋でごみを出さないといけないからそこにお金がかかるのも個人的には嫌だなあ。生ゴミとかこまめに捨てたいものもあるし。

・気性が荒い/頑固な人が多い

気性が荒いのは九州人全体の特徴な気も……お店の前で怒ってる人とかよく見る。あと、頑固。人の話を聞かない人、多い印象はある。でもこれはもちろん観測範囲上そう思うというだけなので、そうじゃない人もたくさんいる。

・遠征がどこに行くにも遠い

福岡市内の移動は本当に快適で(コンパクトシティなので都心の街がどこも近い)空港が近いのも最高だけど、東京に住んでたら近かった名古屋も仙台も遠くなったし北海道や大阪はまだ行きやすいけど羽田と成田どちらも使える東京に比べたらもちろん飛行機の本数が格段に少ないんですよね。

仙台遠征で予定してた飛行機が飛ばなかったとき、羽田だったら他の交通手段がいくらでもあるけど福岡からだと飛行機しかないのに福岡-仙台便が少なすぎて予定より4時間遅れて到着することになり試合前の練習に間に合わなかったの今でも本当に悔しい気持ちです……。

大阪は新幹線で、他の場所に行くときは念のため前泊するしかなくなるから遠征費用はかなり高くなるなあという印象です。そもそも福岡に住むと決めた時点で遠征をしなくていい趣味を見つけたかったのが本音ですが……。




コロナ禍後の移住なので、本当なら出会いの場だったりカルチャーに触れられたらよかったのだけど、とりあえずわたしが思いつくのはこのくらい。

「遠くに来たんだなあ」といちばん感じる時は、19時頃に会社を出るとまだ空が明るい時です。西に住んでるんだから当たり前なんだけど、陽が昇って落ちるその向きを体感できるのはなんだかジンとする。